今週の本【12/3~12/10】
こんばんは。
芦田です。
師走、と書くだけあって忙しさに拍車がかかりますね。貧乏暇なし。ひい。ホリデーがほしいです。
あまり小説を読む時間がとれず、積み本の山がぐらついてきました。読み終わってから買うべきなのは分かっているのですが、ついつい買ってしまいます。
1.フーガはユーガ/伊坂幸太郎
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2018/11/08
- メディア: 単行本
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そんなことはさておき、今回はテレポーテーションする双子の話でした。伊坂さんの作品では超能力が使える人物だと魔王(こちらも兄弟のお話でしたね)が浮かびます。ちょっと似ているかもしれないですね。
双子は幼い頃から虐待や(暴力)を受けていて、物語はそのシーンを話すところから始まります。暴力を振るう父親の姿には吐き気がしました。伊坂さんの作品では交通事故と虐待を受ける子どもが度々登場しますが、本作でも出てきます。
見ていて苦しくなるほど健気で頑張る双子の姿にはなんとも言えない気持ちになります。たぶん二人は同情は求めていないように思うのです。
コミカルな会話は伏線となり後で回収される小気味良さ、終盤の答え合わせは大変愉快でした。
オーデュボンの祈りの案山子、にはちょっとクスリとしたり。
扱っている内容が内容なだけに、あまり人に気軽にはおすすめできないなと感じます。好みが別れそうですが、読後感は悪くないので私は好きです。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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昔遭った事故の影響で記憶が80分しか持たない数学者 博士とその博士の家に配属された家政婦 私、そして私の息子ルートの交流を描いた切なくも心暖まるストーリーです。博士は子どもを心から愛していて、文章からその優しさが伝わってきます。80分しか記憶が持たない中で、一つ一つの出来事を大切に過ごしていく3人。忘れないように服にメモをクリップで止めている変わった博士が、その袖口に止めた 僕の記憶は80分しか持たないというメモ。こちらは何度も登場するのですがその度に切ない気持ちになります。
この作品では登場人物の名前が登場しません。ルートも、博士がつけたあだ名です。そのぶん語り手である私に感情移入しやすくなっています。度々数式が登場しますが違和感がなく、かつ読みやすく書かれています。ほっと一息、ミルクティを飲みながらゆっくり読んでいただきたい作品です。
3.青鬼の褌を洗う女/坂口安吾
- 作者: 坂口安吾
- 発売日: 2012/09/13
- メディア: Kindle版
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こちらの作品は好きで何度も読み返しています。坂口安吾はそこまで多く作品を読んでいるわけではないのですが、今のところこれが1番好きです。魔の退屈も好きですね。
ひとりの女性を描いている作品で、女性目線で描かれています。安吾自身も自信作だったようで当時の奥様に読むように勧めた聞きました。
奔放に生きる主人公と、恋人の関取やそのつぎの恋人 職場の専務である久須美との生活を描いています。乙女心は難しいです。
久須美に関して愛おしいからこそ離れられるくらいなら自分から手放す、というような人間性はなんとなく夏目漱石のこころの先生のようだなと思いました。ああでもわかるな。自分で手放した方がダメージが少ないですもんね。
- 作者: 堺雅人
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 文庫
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おっと、話はそれて。
これは俳優堺雅人さんのエッセイ集になります。テレビ雑誌で連載していたものを収録したものです。
一つ一つが800字程度で纏められていて、読みやすいです。堺さんの言葉選びが愉快で、この人は文章を作るのが上手いなぁと思います。ご本人は謙遜してらっしゃいますが。堺さんの不思議ワールドをちょっと覗けます。え、そこに悩む人っているんだ、などと思ったり。ほっと一息つける本です。
なんだか今回はほっこりする本が多かったです。やはり忙しいので読む本には安らぎを求めているようです。
そういえば普段おすすめの小説を聞いてくれる人が多いのですが、どうもあらすじや魅力をその場で上手く伝えることが出来ずにもどかしい気持ちになります。もっとアウトプットの練習をしていきたいですね。
それではまた。
芦田悠宇司